2009年ニコニコ動画個人的な十選

2009年が過ぎ去り、2010年がやってきました!ネガティブな話題が多い世の中ではありますが、ネット界隈は楽しいことで溢れています。2007年から始まったニコニコ動画は、去年も順調に成長を遂げ、大いに僕たちを楽しませてくれました。

というわけで、今回のエントリでは僕が個人的に選んだ2009年のおすすめ動画を紹介したいと思います。あくまで個人的なセレクションですので、なんだこれと思ってもご容赦ください。

【TAS】 ロックマン2 世界記録 in 24:33.5 (2009-01-13) 【記録更新】

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まずは、年明け早々ニコニコのゲーム動画ファンたちの度肝を抜いてくれたこの動画から。ロックマン2というのは、言わずと知れたカプコンの人気アクションゲームシリーズの2作目で、シリーズ中でも名作の呼び声高いタイトルです。TASというのはTool Assisted Sppedrunの略で、PC上のエミュレータでゲームを動作させて、自動キー入力などの様々なツールを駆使することで、いかにゲームを速くクリアできるかを競うものです。

「ツールは使うが、ゲーム自体は改造しない」という縛りがあるため、速くクリアするためには、いかに最短のルートを見つけるか、あるいはいかにゲーム自体に元々あるバグを突くかを追求しなければいけません。世界中の人達がタイムの更新を競う姿は、まるでスポーツのようです。

TAS動画の魅力は、自分たちが遊んでいたゲームの隠れた面を見ることができることにあると思います。さらにこの動画では、バグを駆使したプレイが結果的にワケのわからない面白さを生んでいます。特にバブルマンステージが酷いです(^^;

【実写】smooooch・∀・【踊ってみた】

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smoooochというのはビートマニアという音ゲーの楽曲、及びそのゲーム画面のことです(オリジナルはこれですね。)。曲とキャラの動きがとても可愛らしいので、キャラクターをいろいろなアニメやゲームのものに変更して動画を作るのが定番ネタになっているのですが、この動画の作者はそれを自分自身のストップモーションで表現しています。おそらくデジカメなどで撮影したのだと思うのですが、その総数は3545枚!謎の努力愛すべき馬鹿というタグがこれほど似合う動画は珍しいです。

というか、こういう「誰もやらないような馬鹿馬鹿しいことをあえてやる」というのは古き良きニコニコの精神を体現していると思うんですよね。いつ見ても笑ってしまう、楽しい動画です。

【声MAD?】マクロスF最終話を演じてみた【エキサイト再翻訳】

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うってかわってこちらは、たくさんの人間が協力して作り上げた大作です。2008年を代表するアニメとなったマクロスFのセリフを、エキサイト翻訳で韓国語に翻訳し、さらにそれを日本語に戻したテキストを大真面目に演じることによって、まさにエキサイト再翻訳ワールドとしか言いようの無い意味不明な面白さを生み出しています。

さらに、音が混じってしまうのを防ぐために、SEや挿入歌も自分たちで再制作しているところも凄いです。今回張ったのは最終話ですが、この他に5話、7話、12話についても作成されています。とにかくマクロスF本編を見ている方なら必見の動画です!

コードギアス幽遊白書OP【手描き】

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次はアニメ繋がりでこちらを。手書きアニメというのは、個人で作成するのはほとんど不可能なくらいの手間を要するのですが、こちらの動画は懐かしの幽遊白書OPをコードギアスのキャラで見事に再現しています。ツール類が普及して、以前よりは作りやすくなっているとは思うのですが、個人でこのクオリティは凄い。この作者さんは他にもいろいろな手書きMADを作成していますので、今後も楽しみです。

澪ベースでRED ZONE弾いてみた

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次は演奏してみたカテゴリからこちらを。「けいおん!」は2009年を代表するアニメとなりましたが、そのキャラクタである澪をモチーフにしてベースを作ってしまい(ベースの作成を解説した動画はこちら)さらにビートマニアの名曲であるRED ZONEを弾いたという動画です。その演奏は変態ベーシストの名にふさわしいもの。「ベースってこんな演奏ができるんだ!」と驚くと思います。

【ゆっくり】伊達政宗の書状【音声ガイド付】

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ニコニコはアニメなどのサブカル関係に強い印象がありますが、歴史などの学問系の動画も投稿されています。しかもその中には、その分野に詳しくない人でもとっつきやすいように工夫してくれているものも多いです。この動画はその好例だと思います。

内容としては、破天荒な言動で知られる戦国武将・伊達政宗が送った面白い書状を解説するもので、ゆっくりによる音声ガイドも付いています。(「ゆっくり」というのは音声合成ソフト「softalk」で作成された音声の、ニコニコにおける愛称です。)
歴史に興味がある人ならすごく楽しめる内容だと思います。しかも、当時の世相や伊達政宗の人柄についての勉強にもなります。こういう動画がどんどん増えてくるといいなあと思います。

2ch】 消しゴムをくれた女子を好きになった 【実話】 〜中学時代編〜

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2chは初期のニコニコのユーザ文化形成に大きな影響を与えたテキスト掲示板サイトであり、今でも2chの面白いスレッドが動画化され、人気を博することがあります。そのようなスレッドから生まれた物語としては、「電車男」が記憶に新しいですね。でも、この動画で紹介されている物語は、電車男に負けないくらい波乱万丈で、涙あり笑ありの内容だと思います。「運命」という言葉は少し使い古された言葉になってしまいましたが、その本当の意味を感じるストーリーです。

全6話と長いのですが、面白いことは保証できます。ぜひ見てみてください。

GUMIで「君の知らない物語」【supercell

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2007年、2008年に初音ミクというキャラクターによって一気に流行したVOCALOIDによる楽曲作成は、2009年になっても勢いを失わず、メーカー側からもさらに多くのVOCALOIDたちが生み出されました。GUMIは、マクロスFのランカ役で人気の中島愛さんの声を音声ライブラリとして使用したVOCALOIDです。

当初はそれほど注目されなかったものの、最近になって、まるで人間が歌っているような自然な調声の作品が増えており、再評価の流れとなっています。この動画は、2009年の大ヒットアニメ「化物語」の主題歌である「君の知らない物語」をGUMIでカバーした作品で、「VOCALOIDもここまで来たか!」と思わせる作品です。他にGUMIによる楽曲としては、Miracle∞Hinacleのカバーも凄いです。

【第3回MMD杯本選】Vocaloid On Ice 〜 ミクのICE☆SHOW 〜

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MMDMikuMikuDanceの略で、初音ミクの3Dモデルを動かしてCGアニメを作成することができる、一種のCADソフトです。誰でもフリーで使うことができ、現在ではキャラクターもミクだけではなく、他のVOCALOIDキャラクターやアニメキャラクターなどに広がっています。「MMD杯」というのはそのMMDで作成した動画のコンテストです。

この動画は第三回MMD杯で投稿されたもので、浅田真央選手のショートプログラム(別な曲ではありますが)をミクに踊らせています。この動きの滑らかさ、ミクの表情、演出の巧みさを見ていただきたいです。なによりミクが本当に可愛らしい!作成者の情熱と愛情が伝わってくるようです。

MMD杯には他にも素晴らしい作品が多く投稿されています。第二回のMMD SKI RIDE、第三回の準優勝となったけいおん!「私の恋はメガラバ」も素晴らしかったです。つい繰り返し見てしまいます。

【等身大】初音ミク作ってみた【01_balladePV】

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最後はニコニコ技術部からこの動画を。年末になって、なんと表現したらよいかわからない、もの凄い動画が投稿されました。内容としては、タイトルの通り「等身大の初音ミクを作った」というものなのですが、まさかそれが全身が稼働するロボットだと思う人はいませんよね。

この動画の作者は、ミクの体をスタイロフォームから切り出し、内部に配線とサーボモーターを埋込み、塗装して、髪を絹糸で作って、洋服を裁縫して、動きをプログラムするところまで自分一人でやったのです。かかったお金も半端ではないですし、手間はそれこそお金に換算できるようなものではないでしょう。まさに現代のレオナルド・ダ・ヴィンチです。

だけどこの動画を見て思うのは、技術者にとっては技術はもちろん大事なのですが、何かをやり遂げたいという強い気持ちも大事なんだな、ということです。コメントにも散見されるのですが、技術者にとっては勇気付けられる動画ですね。

ということで…

ずいぶん長くなってしまいましたが、全部で十個紹介させていただきました。2010年はどんな動画が投稿されるのか、とても楽しみです。